スネアのテンション数は8テンション、10テンションがメジャーであるが
オールドのスネアや初心者用の格安キットには、『6テンション』のものがある。
“最高のスネアの音”というのは、相対的なものであり
多様な音楽シーンの数だけ、良い音の定義は異なるということは十分承知しているが
個人的に理想としているスネアサウンドは
“ふくよか”で、“柔らかく”、さらには“耳に痛くない”音である。
自分が初めて手にしたスネアは、台湾製木胴の6テンションだった。
テンションが十分にかからず、バンドサウンドの中で明らかに音抜けが悪く
ショボショボの音だった記憶がある。
それ以来、自分の中で、6テンションものはダメ、という固定概念が付いた。
その後、再度6テンションものを叩くことになる。
そのスネアは、『Ludwig Pioneer Model』。6テンションスネアの代表格である。
どうせ...という気持ちで叩いてみたが、意外に自分の理想とするサウンドに近いことに驚いた。
さらに、録音したものを聴くと、その特性がより強調されており、衝撃を受けた。
これまで様々なスネアを叩いてきたが、それまでなかなか得られなかった
理想の音が、そこにあった。
最近、再度6テンションスネアを叩く機会があったが
やはり以前の印象は変わらず、感動的ですらあった。
とにかく太く、やさしく、柔らかい。
6テンションスネアの音は、なぜやさしいのか?
テンションボルトによるミュートポイントが少ないことが第一の理由であろう。
ヘッドの“硬さ”を出せない代わりにヘッドの振動はより自由になり
それが功を成して、ふくよかさの素となるのではないか。
ヘッドにテンションがかかりつつ、膜振動は抑えすぎないという。
テンションが少ないほど良い効果があるのかも知れないが
例えば、4テンションは円形のヘッドを押さえるには不十分でないかと思う。
14インチスネアにおいては、5~6テンションが最低限必要なテンション数であろう。
6テンションの弱点は、ハイテンションがかけられないことと、アタックが弱いこと。
間違っても、大音量のロックバンドやメタル系での使用は厳しい。
あとは均等張りでチューニングしないとフープが曲がりやすい、と思われる。
しかし。6テンションスネアは、なかなか侮れないと思う。
決して“安物”ではなく、確固とした楽器のキャラクターのひとつ。
あたたかく、太い鳴りの音色を求めるなら、この上なく最適である。
10テンションはチューニングが安定し、アタックも効いた現代的な音。
6テンションはアタックは弱いものの、ふくよかな鳴り。リバウンドもやさしい。
8テンションはその中庸といったところか。
これまで一流メーカーたちがほとんど手がけてこなかった、6テンションスネア。
今後、盛り上がってくることがあるかも知れない。
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