私の好みのスネア用ヘッドは、間違いなくRemo『Coated Emperor』であるが
Aquarian『Modern Vintage』も推しである。
『Modern Vintage』 |
Modern Vintageは、カーフスキンを模したヘッドだが
独特のもっちりしたサウンドと叩き心地が特徴的。
とにかく乳白色の見た目が最高で、コーティングの手触りもまた良い。
近年Aquarian社は、採用しているMylarフィルムの見直しを行い
ヘッドの素材をNu-Briteフィルムと呼ばれものに
すべてチェンジしたとのこと。
アタックとレスポンスの増強と、フォーカスされた
ピッチと響きを作ることを目的としていると。
Nu-Briteについては、詳細情報がなく
他社のフィルムとの違いは明確には分からなかったが
どうもMylarフィルムの中の一種らしい。
Modern Vintageの(というかAquarianヘッド全般)の欠点は
サイズがきつめであるため、シェルによっては嵌めるのがきつい点。
アルミサッシのサイズがギリギリをせめており、ものによって装着しにくい。
厚めのカバリングのモデルなどは、特にきつくなる。
シェルがやや大きいヴィンテージドラムにも付けられるように
アルミサッシの口径をやや大きめにしたものが
『American Vintage』シリーズである。
Remoもこれを真似たのか、現在やや口径の大きいヘッドを発売している。
『American Vintage』 |
さらに、このVintageシリーズの仲間として
数年前より、Vintageシリーズ2プライヘッドである
『Modern Vintage Ⅱ』や『Deep Vintage Ⅱ』がラインナップに加わった。
『Modern Vintage Ⅱ』 |
『Deep Vintage Ⅱ』 |
ロゴが全く同じなので、見分けがつかないけど(笑)
ロゴに記載してある名前で、かろうじて判別できる。
Modern Vintage Ⅱが7milの2プライで、好みのCoated Emperorと同じ構成。
Deep Vintage Ⅱの方は、10milの2プライである。
現在手持ちのスネアに、Modern Vintage Ⅱを張っているが
印象としては、倍音が整っている上に、太さも増強されており、秀逸。
なおかつ、Modern Vintageでのもちもちサウンドは
2プライになってもそのまま生かされている。
大部分のドラムメーカーでは、Remoヘッドが標準で張られていることが多く
大御所というところもあって、多くのドラマーがRemoヘッドに馴染んでいる。
スタンダードなメーカー以外のドラムヘッドは、なかなかの高額であり
気安くは試せないために、多く流通している故に価格が安く
使い慣れたスタンダードなもの(Remo製)を反復して使うことになり
新規メーカーの参入が難しいという状況を繰り返しているかも知れない、と推測する。
世の中には、大手メーカー以外のマイナーなメーカーのヘッドも割と存在しており
実はまだ出会っていない宝が眠っているかも知れない。
ドラマーには、Remo Coated Ambassadorこそが至高であり
それ以外は認めないと考えている妄信的な者が、割と多い。
そんなものは演奏するジャンルやスネア、また好みによりベストは変わるものである。
あまり他人の言うことを鵜呑みにせずに、自分で試してみて
自分がいいと結論付けたものを、嬉々として使うのが良い。
音だけでなく、“叩き心地”も、ヘッドを選ぶ上で大切なファクターである。