2022/01/13

ModernなVintage

私の好みのスネア用ヘッドは、間違いなくRemo『Coated Emperor』であるが
Aquarian『Modern Vintage』も推しである。

『Modern Vintage』

Modern Vintageは、カーフスキンを模したヘッドだが
独特のもっちりしたサウンドと叩き心地が特徴的。
とにかく乳白色の見た目が最高で、コーティングの手触りもまた良い。

近年Aquarian社は、採用しているMylarフィルムの見直しを行い
ヘッドの素材をNu-Briteフィルムと呼ばれものに
すべてチェンジしたとのこと。
アタックとレスポンスの増強と、フォーカスされた
ピッチと響きを作ることを目的としていると。
Nu-Briteについては、詳細情報がなく
他社のフィルムとの違いは明確には分からなかったが
どうもMylarフィルムの中の一種らしい。

Modern Vintageの(というかAquarianヘッド全般)の欠点は
サイズがきつめであるため、シェルによっては嵌めるのがきつい点。
アルミサッシのサイズがギリギリをせめており、ものによって装着しにくい。
厚めのカバリングのモデルなどは、特にきつくなる。

シェルがやや大きいヴィンテージドラムにも付けられるように
アルミサッシの口径をやや大きめにしたものが
『American Vintage』シリーズである。
Remoもこれを真似たのか、現在やや口径の大きいヘッドを発売している。

『American Vintage』

さらに、このVintageシリーズの仲間として
数年前より、Vintageシリーズ2プライヘッドである
『Modern Vintage Ⅱ』『Deep Vintage Ⅱがラインナップに加わった。

『Modern Vintage Ⅱ』
『Deep Vintage Ⅱ』

ロゴが全く同じなので、見分けがつかないけど(笑)
ロゴに記載してある名前で、かろうじて判別できる。
Modern Vintage Ⅱが7milの2プライで、好みのCoated Emperorと同じ構成。
Deep Vintage Ⅱの方は、10milの2プライである。

現在手持ちのスネアに、Modern Vintage Ⅱを張っているが
印象としては、倍音が整っている上に、太さも増強されており、秀逸。
なおかつ、Modern Vintageでのもちもちサウンドは
2プライになってもそのまま生かされている。

大部分のドラムメーカーでは、Remoヘッドが標準で張られていることが多く
大御所というところもあって、多くのドラマーがRemoヘッドに馴染んでいる。
スタンダードなメーカー以外のドラムヘッドは、なかなかの高額であり
気安くは試せないために、多く流通している故に価格が安く
使い慣れたスタンダードなもの(Remo製)を反復して使うことになり
新規メーカーの参入が難しいという状況を繰り返しているかも知れない、と推測する。

世の中には、大手メーカー以外のマイナーなメーカーのヘッドも割と存在しており
実はまだ出会っていない宝が眠っているかも知れない。

ドラマーには、Remo Coated Ambassadorこそが至高であり
それ以外は認めないと考えている妄信的な者が、割と多い。
そんなものは演奏するジャンルやスネア、また好みによりベストは変わるものである。

あまり他人の言うことを鵜呑みにせずに、自分で試してみて
自分がいいと結論付けたものを、嬉々として使うのが良い。
音だけでなく、“叩き心地”も、ヘッドを選ぶ上で大切なファクターである。

2022/01/01

ネジ緩め専用工具

2022年を迎え、ちょっとマニアックな工具をご紹介。

蝶ネジを緩めるときに使う工具で、Koken(コーケン)の
スピンナハンドル『3768N-175』 + 蝶ネジ用ソケット『3119-5.5×6』

スピンナハンドルは、ちょっと短めの175mmのモデル。
これに、3/8インチ規格の蝶ネジ用ソケットを装着。


ご存知のように、ドラム業界ではハードウェアに蝶ネジが多用されているため
この工具が有益となるシーンは、割と多い。

自分のハードウェアではそんなことはないのだが
不特定多数が使用しているスタジオのスタンド類は
往々にして、蝶ネジがきつく締まっている。
そのため、用手で回そうと思うとネジが固くて回らず
Fワードを連発してしまうことが、しばしばある。

若い頃にプロドラマーから、ネジが固い場合に
2本のスティックで蝶ネジを挟んで回す方法を教えていただいた。
便利な方法だとは思うんだけど、スティックに変な負荷をかけたくないし
入り組んだ狭いところでは、スティックで挟めない場合もあり、良策と思えず。

近年は、コの字の金属バーのドラム用蝶ネジ回し専用工具(?)が
発売されており、使用している方も多いかと思う。
それも軽量で便利だと思うけど、自分の場合は趣向を変えてこれを使っている。


蝶ネジ用ソケットとは、その名の通り、蝶ネジを回すためのソケット。
十字のスリットに蝶ネジの中心部を挟み、テコの原理で回すという仕組み。


最初は、このソケットをラチェットハンドルに付けて使用していたが
蝶ネジを緩めるのが目的の場合、逆に作業がやりづらく
スピンナハンドルであれば、変に回す方向とか気にせずに済み
指回しもできてシンプルに操作できるため、切り替えた。

スピンナハンドルは、各社から販売されており色んな種類があるが
コーケンのスピンナハンドルは、ヘッドに軽いロック機構があることが利点。
通常、ヘッドを斜め45度とかに曲げて回すことはないため
直線や90度にしたときに、ロック機構によりヘッドが不意に曲がらず
安定するところが素晴らしい。



例えば、タムホルダーに。
めちゃくちゃ楽に緩めることができる。


また、スピードキングのビーター固定の蝶ネジにも。



スピードキングの蝶ネジは、洗浄してがっつり潤滑すると
指で締めても、結構なトルクで締め付けることができる。
なので、緩めるとき、手では外しにくいこともしばしば。
こんなとき、このスピンナが役に立つ。


さて、この蝶ネジ用ソケットの欠点は、ソケットより大きい蝶ネジには使えないこと。
最近のドラムハードウェアは、利便性を考慮して、蝶ネジが太くてデカいものが多い。
たとえば、自分の使っているTAMAのスタンドの蝶ネジには、はまらないので使えない。
なので、どんなハードウェアにも適合する訳ではないことが残念。

あとは、金属同士なので、ソケットが蝶ネジの取っ手を傷つける恐れも考えられた。
しかし、緩める目的で使うときは、蝶ネジに強い負荷がかかる前にネジが緩むため
使っている感じでは、取っ手に傷が入ることはない印象である。

あ、もちろん、締めるときには、絶対に使わないですよ。
ネジがぶっ壊れるので、要注意。
あくまでネジを緩めるとき専用工具ということで。