私はVintage drumにはあまり興味がない。
良いものを求めるとどこまでも突き詰められるのでキリがないという点と価格が沸騰し本来のモノの価値を大幅に超え
なんだか小金を持っている者のみに許された道楽と化しているというのが理由である。
手を出すとこわい世界だと思うので、あえて手を出さないでいた。
そんな私がなぜか手に入れた、60年代 Ludwig Jazz Festival 14×5 snare drum。
アメリカはMinesotaの片田舎から取り寄せた。
60年代のJazz Festivalは比較的巷に多く出回っているが、このスネアは少し特別。
マニアの方はぱっと見ただけで、ただの60年代ものではないことに気づくだろう。
まずはKeystone badgeはシリアルナンバーがついていない、プレシリアル。
これはLudwig社がシリアルナンバー制度を導入する前の1960~63年の
ほんのわずかな期間に生産されたことを意味する。
フープはChrome over brassと呼ばれる、クロームメッキされたBrass hoop。
ボトムフープのスネア開口部は出っ張っているタイプ。
これらは全て1960年代前期の生産である証である。
もちろん、ミュートは赤フェルトである。
そしてBaseball Bat Tone ControlとKeystone badgeとP-83ストレイナーが、ラグをはさんで3連続で続く。
これは1962年と1963年の2年間のみの仕様なのだ。
1962年以前だとミュートの種類が異なるし、1964年以降になるとパーツの配置が3連続ではなくなる。
それを証明するかのように、シェル内部には1963年製の赤色スタンプ。
シェル内に烙印された日付スタンプは1960~1963年までは赤色のインク、
それ以降のスタンプインクの色は黒と赤の混在と言われている。
日付スタンプは“後付け”もかなりあるらしいが、こちらは63年製に矛盾しない仕様である。
肝心の音はというと...よく乾いたドライで軽快なサウンド。
50年の経年変化を経たシェルを現代技術で再現するのは難しいことが納得。
Vintage drumが愛される理由だろう。
なんでそんなに1963年製にこだわるのか。
今年は2013年で、ちょうど「50周年記念」だからである。
何かが世に放たれ50周年なのだ。
その話はまた次回に。
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