2014/05/15

Remoヘッドの反撃

(※パール公式HPより転載。クリックで拡大。)

Remo ドラムヘッドのテクニカルガイドとして、上記のような内容が掲載された。
どうも聞き捨てならぬ内容だったため、取り上げてみた。

これは他社のヘッド、特にEVANS Level 360を思いっきり意識した記述だと思う。
一見いかにもと思わせる理屈だが、個人的にはだいぶ「?」である。

ドラムを鳴らすには振動を抑制しないことが大切であることは同意できる。
しかしその理論展開が、強引かつ、意味不明。

エッジトップ内側のフィルムが浮かんでいることが、フィルムの振動を大きくし...とあるが。
ゆるゆるの遊びのあるヘッドが打撃のエネルギーをどうしてドラムに伝えることができるのであろうか。
例えばテンションのかかっていないギターの弦は、音を奏でるどころがびびるだけであることは
自明の理である。

また、エッジより外側のフィルムがリムと接触してしまい、振動を妨げる云々...。
それが触れた触れないの音の違いが人間の耳で判断できるとでも?
その理論だと、現在多く持てはやされている外側ラウンドエッジの存在意義はどうなる?
そもそもリム自体も接触することで一緒に共鳴しているのでは?

仮に正しいことだとしても、世の中のドラムシェルと装着するフープは同じサイズ設定でも
メーカーにより大きさや形状がかなり異なるという事実を、あまりにも無視した理論。
Remoヘッドだって、付けるシェルやリムの形状によって余裕で接触すると思わないのか?

ヘッドの品質で最も要求されることは、ローテンションにおいて
いかに均一にエッジにコンタクトするかということ。
その観点ではEVANSのLevel 360はかなり優秀な性能を持っていると思う。

それでは、EVANS Level 360の機構こそがドラムヘッドとして至高なのか?
いいや、そんな単純な理論ではない。
言うまでもなくドラムサウンドは複数の因子が関連して音質を決定する、multifactorialである。
相性、バランス...多因子が決定する実に奥が深い世界。
その多様性こそがドラムサウンドメイキングの楽しさであり、奥深さである。

世の中、根拠のない事実の流布が横行しすぎている。
それでメシを食うやつらも多く、社会経済の一部を構成していることも無視できない現実である。
しかし、与えられたことは鵜呑みにせず、自らの意思・経験で最終的に判断すべきと常々思う。
そうでないと情弱として踊らされ続けるのみ。その分野の発展にも寄与しない。

今回のRemo社の屁理屈には閉口せざるを得ないが、私はRemoにもEVANSにも愛着を持っている。
だから両社ともに、今後の魅力的な商品開発に期待をかけたい。

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