2014/07/29

REMO 14mil ヘッド



REMO社のカスタムスネアヘッド。
購入してから何年も経っているので記憶が曖昧だが、確か14mil 1plyのcoatedヘッドだったと思う。
DuPont社が14milのMylarフィルムの作成に成功したとか何とかの頃。
当時は特注品かサンプル品であったが、現在ではレギュラー商品化され
「REMO X14」(海外のみ)や「EVANS G14」として販売されている。

Ambassadorの厚さが10milなので、その1.4倍の厚みを持つ。
Emperorが7milのフィルム2plyで計14milなので
このヘッドはEmperorと等厚だがシングルプライという代物である。
厚めの1plyとして華々しく登場したAmbassador Xが12milなので、それよりもさらに厚い。

久々に引っ張りだして使ってみた。
購入当時、かたい音だなと感じた記憶があるが、今回も同様の感想を持った。
大袈裟に表現するとすれば、“板を叩いている感覚”。
スティックが沈み込むような感触は全くない。

レスポンスは速く、とにかくアタックが強烈。
驚くべきは、打撃のパワーに比例してどこまでも鳴ってくれる点と
タップやゴーストノートの音が異様にデカイ点。

Emperorと等厚であるものの、Emperorとは音も打感も全然似つかず。
7milフィルムの二枚重ねのEmperorのほうがまだ柔らかく、音も太い。
またうまくチューニングしないと音が詰まりやすい傾向。

うーんと思ってCoated Ambassadorに張り替えてみると
故郷に戻ってきた懐かしい感覚に(爆)。

陳腐な表現だが、アタック重視のラウドなロックやメタルに合う音であると感じる。
1plyのためミュート系ヘッドほどデッドではなく、そこに商品価値があるのであろう。
しかしパワーヒッターが叩いたら騒音にかき消されてしまい
そんな違いなど表出されない気もするんだが…。

散々厚フィルムのヘッドの話をしたが、最近はREMO DiplomatやLuwdig Mediumなど
7.5milの薄いヘッドが個人的に好み。
柔らかい打感と豊かな振動で、“太鼓”を叩いているという実感が持てる。

2014/07/14

シンバルメーカーが作るスナッピー


SABIANからスナッピーが発売になった。
シンバルメーカーが作るスナッピーとはなかなか興味深い。

2種類が販売されており、内容は以下の通り。
①ナチュラルなEQを目指した、「Hybrid snare wire
②クリスピーなアタックが特徴の「Phosphor bronze snare wire

基本的にはリン青銅製のワイヤーが売りで、これはシンバルメーカーならではの強みか。
Secret bronze formulaと仰せられている。



面白いのはHybridの方。
真ん中がステンレススチールで、両脇がリン青銅という、珍しい構成。
なんかこの組み合わせで音がまとまりやすくなるそうな。

新商品なので国内ではまだ取扱いがなさそうか。
そのうちパールさんから発売になるのかも。チェックしてみたい。

2014/07/13

SAKAEのストレイナー


SAKAEのストレイナー。
個人的にとても気に入っている、絶品ストレイナーである。

ここ数年は楽器屋に行くと、試奏よりもタイコのスペックや構造が気になり
スネアコーナーではストレイナーをいじり倒している。
国内・海外を含め数々のブランドのストレイナーをいじったが
ここまで動きがなめらかで操作性の良いものはなかなかない。
違う機構のものだと、Trick strainerが優秀であるが。

機構自体はよくあるレバー式だが、動きがとてもなめらか。
レバーを含めて全体的に丸みを帯びており、手に馴染むやさしいデザイン。
とにかく動きが気持ちいい。
つい何度もON・OFFしてしまう(爆)。

YAMAHAドラムスのOEMをしているサカエリズム楽器。
SAKAEブランド発足依頼、独自のデザインを取り入れ精力的に開発を行っている。
このオリジナルストレイナーもきちんとPatentを取っていらっしゃる。

サカエリズム楽器の工場は、大阪府東住吉区今川にある。
実は昔、かなり近所に住んでいた。
チャリで何度か前を通ったかも知れない。

2014/07/10

6テンションスネアの魔力


スネアのテンション数は8テンション、10テンションがメジャーであるが
オールドのスネアや初心者用の格安キットには、『6テンション』のものがある。

“最高のスネアの音”というのは、相対的なものであり
多様な音楽シーンの数だけ、良い音の定義は異なるということは十分承知しているが
個人的に理想としているスネアサウンドは
“ふくよか”で、“柔らかく”、さらには“耳に痛くない”音である。

自分が初めて手にしたスネアは、台湾製木胴の6テンションだった。
テンションが十分にかからず、バンドサウンドの中で明らかに音抜けが悪く
ショボショボの音だった記憶がある。
それ以来、自分の中で、6テンションものはダメ、という固定概念が付いた。

その後、再度6テンションものを叩くことになる。
そのスネアは、『Ludwig Pioneer Model』。6テンションスネアの代表格である。
どうせ...という気持ちで叩いてみたが、意外に自分の理想とするサウンドに近いことに驚いた。
さらに、録音したものを聴くと、その特性がより強調されており、衝撃を受けた。
これまで様々なスネアを叩いてきたが、それまでなかなか得られなかった
理想の音が、そこにあった。

最近、再度6テンションスネアを叩く機会があったが
やはり以前の印象は変わらず、感動的ですらあった。
とにかく太く、やさしく、柔らかい。

6テンションスネアの音は、なぜやさしいのか?
テンションボルトによるミュートポイントが少ないことが第一の理由であろう。
ヘッドの“硬さ”を出せない代わりにヘッドの振動はより自由になり
それが功を成して、ふくよかさの素となるのではないか。
ヘッドにテンションがかかりつつ、膜振動は抑えすぎないという。

テンションが少ないほど良い効果があるのかも知れないが
例えば、4テンションは円形のヘッドを押さえるには不十分でないかと思う。
14インチスネアにおいては、5~6テンションが最低限必要なテンション数であろう。

6テンションの弱点は、ハイテンションがかけられないことと、アタックが弱いこと。
間違っても、大音量のロックバンドやメタル系での使用は厳しい。
あとは均等張りでチューニングしないとフープが曲がりやすい、と思われる。

しかし。6テンションスネアは、なかなか侮れないと思う。
決して“安物”ではなく、確固とした楽器のキャラクターのひとつ。
あたたかく、太い鳴りの音色を求めるなら、この上なく最適である。

10テンションはチューニングが安定し、アタックも効いた現代的な音。
6テンションはアタックは弱いものの、ふくよかな鳴り。リバウンドもやさしい。
8テンションはその中庸といったところか。

これまで一流メーカーたちがほとんど手がけてこなかった、6テンションスネア。
今後、盛り上がってくることがあるかも知れない。