Paul McCartneyのOut There JAPAN Tour 2015は無事に終演。
今回は東京ドーム公演2日目に参加した。2年前の感動が蘇る素晴らしい体験であった。
今回のツアーの最終公演は、なんと武道館公演。
武道館公演には特別な意義があり、ファンとしては当然大いに気になるもの。
しかしチケット代がrattle your jewelryな値段設定であることと、平日は仕事がありとても参加は不可能であると、他人事として捉えていた。
当日は出勤時の車の中で曲を聴きながらBeatlesのvibeを感じつつ。
今日はいよいよ武道館公演だなと、なぜかソワソワしていた。
朝にはお決まりの当日券が発売されることも発表された。しかし行けるわけもなく。
今夜の武道館公演は、どんなshowになるのだろうか。
職場のエレベーターに一人乗って、そんなことを考えていた。
ふと足元を見ると、落ちていた何かが目に付いた。
それは林檎の形をしたクリップであった。ふとそれを拾い上げ、眺める。
林檎は言うまでもなくBeatlesの象徴。どうしてもBeatlesを連想してしまう。
これは武道館に行けということなのか…。
そのうち、なんだかこの伝説的な日にじっとしていられなくなった。
公演を見るつもりは毛頭なかったのだが、とにかく
この日の武道館の雰囲気だけでも味わいたいと思うようになった。
平日の公演など、現役で働いている社会人にとっては参加は絶望的。
しかし、その日はあまりにも条件が整っていた。なんとか武道館に駆けつけることができそうだった。
職場をやや早退し、足早に九段下へ向かう。
もちろん夕方のこの時間では、当日券など期待できないだろう。
そして、到着した日本武道館。武道館自体に初めて来た。
入場時間間近のこともあり、ものすごい人だかり。
武道館の写真を撮ることができ、現場の雰囲気を感じたことに一旦満足。
しかし、その後当日券がまだ発売中であることを知る。体が独りでに列の方に向かう。
係員からは“この辺の方々はチケットを購入できない可能性が高い。
買えたらとてもラッキーだと思ってください。”と念を押される。
何せ朝から当日券目当ての人が400人以上並んでいたというのだ。
結果的に、なんと当日券を購入できてしまった。
全く見るつもりはなかったので、頭の中は混乱状態。
車だって職場に置きっぱなしで来た。
最後列で立ち見席だが、それはあんまり重要でなく、会場内に入れたこと自体が奇跡。
武道館内部はこじんまりとした構造が良かった。
ドームなどとは違い、どの場所に座っても、ステージが身近に感じられる。
自分に配当された場所はステージが丸見え。PAやスタッフの動きまでも全て見えてしまう。
公演ではPaulが肉眼でよく見え、さらにピアノ側なので、ピアノを弾く姿もほんとうによく見えた。
当日バタバタで購入した当日券とは思えない、良席。
しかも倍以上の金額を支払ったB席の方々とほとんど見え方は変わらない。
余談だが、Paulの日本語カンペは電光掲示板かディスプレイだと思っていたが
見たところによると、普通に紙を足元に“ハの字”に張り付けてあるだけだった!(笑)
次に何を言うか、その場で見て決めている様子。こんなの東京ドームの最前列客席でも見れない。
当日多くのファンが特別なものを期待して、武道館に集ったと思う。
Out Thereツアーとは全く別のセットリストになるのではないか。
何かすごいサプライズが待っているのではないか。
参加者のほとんどは、そのような期待を持ったに違いない。
結果的には、演奏曲や演出はほぼ東京ドームでの公演と同じ。
バンドのお決まりのリアクションも全て同じ。
でも数曲楽曲を変え、さらに世界初演奏の「Another Girl」は特別だった。
公演は大盛り上がり。とにかくステージと客との距離感が近く、一体感が感じられた。
Paul自身も客の反応をダイレクトに感じ、大変喜んでいる様子であった。
みんな闇雲にすごかったと言っているが、私にはPaulの発声に疲労感を感じた。
なにせ前日に東京ドームで3回目の公演を行ったばかりである。
声に張りがなかった。当然であると思う。
あと残念だったのは、会場の音量がやや小さめだったということ。
従来の東京ドーム公演よりも手短に終わった印象。
体感的にあれ、もうおしまい?という感じ。
公演の様子を見て、Paul自身は武道館にはあまり思い入れはないような気がした。
武道館と言っても、世界中で公演していた舞台の中のひとつに過ぎない。
思い入れがあるのは観客や主催者側の日本側の都合ではないか。
でも、後日のPaulの発言や公演後にお忍びで再度武道館を訪れた点を見ると
1966年のBeatlesの武道館公演のことをやはり懐かしんでいる様子であった。
また今回の来日での最高の思い出になったようだ。
高校生の時に手に入れた、伝説の1966年のThe Beatlesの武道館公演のCD。
半世紀を経て、その同じ場所に、メンバーが再度舞台に立ち、自分も同じ空間にいる。
いちアーティストの公演ということに留まらず、これは人類の文化遺産であり
このような伝説的な人物と同じ時代を生きれたことを有り難く思う。
もちろんリアルタイムの世代ではなく、メンバーの晩年の公演だとしても
それを直接目の当たりにできたことは、自分の人生の上での誇りである。
Beatlesとの思い出がまたひとつ。人生の喜びがまたひとつ。
最後にPaulが主催者側に寄せたメッセージを残しつつ。
「初めてここ武道館に立った日のことを思い出しながら、今夜の素晴らしい観客の前で演奏することができ、とても心動かされ、感極まる体験でした。49年ぶりに武道館に戻ってくることができて、とても興奮したと同時に、これまでの日本のショウでも最高のものだったと思います。とてつもなくクレイジーで、最高な夜でした。」
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