かつて、小口径のスネアドラムが人気を博した時期があったのだが
現在は以前ほど、10~13インチのスネアは売られておらず
専ら、標準的サイズである14インチのスネアのリリースがほとんどである。
14インチというサイズは、ドラムセットの中で最も理にかなっている感はあり
16インチでは股の間に置くには大きすぎるし
12インチだとセットの全体的なバランスから見て音圧的に物足りない。
歴史的にも、そのような流れを汲んで、14インチがスタンダートになっているのではないかと思う。
近年、Zikit Drumsというイスラエルの企業が開発した、スネアドラム用装具。
『Zikit Pro-Kit』。
非常に目新しく、最初はドラム用マイクか何かか、と思ったら意外なものであった。
レバー操作で14インチスネアから、12インチ、10インチ口径のエッジを
打面ヘッドにあてて、その口径のアタックを得るという代物。
この製品のすごいところは、どんな人でも、正確な場所・高さに穴あけができるように
たいそう立派な治具が付いていること。
これにより面倒な位置合わせが不要となり、また失敗するリスクが少なくなる。
内部シェルはアルミダイキャスト製であり、レバー操作で上下できるようになっている。
小口径シェルが本来の14インチのエッジのヘイトを越え、ヘッドに接触する仕組み。
これにより、10インチ、12インチ、本来の14インチと3通りの使い方ができるようになる。
想像通り、小口径にするほど、高音域にシフトし、甲高いスネアサウンドになる。
YouTubeにも動画が多数上がっているので、そのサウンドも確認できる。
ドラムは他のメロディ楽器と違い、その口径、そのピッチが固定されてしまっている楽器。
それを瞬時に切り替えることができることは、革新的ではある。
多彩なスネアの音色を扱いたいドラマーにはうってつけであり
また荷物が減るというアドバンテージもある。
アイディアとしては、非常に面白い。
さて問題は、自分のスネアに穴まで開けて、このキットを造設したいと思う人が
どれだけいるのかということだ。
ドラムの構造的にこういうことができてしまうのであれば
ドラムの鳴る機構というものに、一石を投じる商品という気がしてならない。