2022/08/17

久々のシンバル切り

今日は久々にシンバル切り。
名器、『Paiste 3000 Thin Crash』18インチ。


かなり年期の入ったシンバルだが、これは学生時代に
当時渋谷にあったドラムショップGatewayで、割れ加工済みのものを購入したもの。
割れ加工が入っていたにもかかわらず、物凄く音が良かった。

度々使用していたが、その後ひび割れが拡大し
放置していたところを、意を決して久々にカットオフすることに。


割れ加工をするときは、U字型のくり抜きは良くない。
カットする面積は大きくなってしまうものの
一直線で切るのが、再度ひび割れが発生しにくくなり、結果的に一番長持ちする。

ひび割れの最先端をよく見極めて、


印をつけて


ホールと直角に交わるラインで、線を引く。


シンバルカットのお供は、いつも『Bahco』


金鋸本体は別に何でもいいんだけど、鋸刃は『Bahco Sandflex』一択。
色々試してきたけど、やはりこれが一番キレが良い。



さて、家で切ると家族から大ブーイングなので、近所の公園へ。
大勢のキッズの前でやると確実に囲まれるので(爆)、最も人けの少ない場所へ。


新聞紙をひいて、手袋をして、手足で固定して着手。
もちろん、鋸刃にはオイルを添加する。

大丈夫、周りの人に変な目で見られても
“我、職人ぞ”の空気を醸し出しとけばいい。

シンバル切りが久しぶりすぎて、完全にコツを忘れてて(爆)
前半結構苦労したが、後半はコツを思い出しサクサクと。
カット後は、ダイヤモンドやすりで切断面を整える。

そして、完成の図。Before→Afterも一緒に。
カットすることで、クリアーなサウンドになった。




加工したシンバルは、専らスタジオ練習用に使う。
完全円形と比べたら、わずかに音量が落ち、ややトラッシーだけど
それでもスタジオの初心者用安物シンバルに比べたら、全然いい音。
クラッシュとして遜色なし。

切ってあげると長生きしまっせ。

2022/08/15

樋口宗孝スティック研究 その②

さて、Vater Universalスティックの評価にあたり
今回まじまじと、バリエーション別のPearl 樋口モデルの形状について、調べてみた。

ストックの中に、旧型のPearl 111モデルが、奇跡的に1ペアずつ残っており
それも合わせて、評価する。

ご覧のように、新旧モデルがズラリ。


こちらが、現行のモデルたち。見た目がオサレになった。
上から
・111HC(日本製アメリカンヒッコリー)
・111AC(日本製ジャパニーズオーク)
・STH-111(アメリカ製スタンダードヒッコリー)

現行モデル

そして、こちらは、懐かしの旧型モデル
ブラックレターの字体で書かれた、このロゴが渋かった。
旧型のオークも所有していたが、現在は残っていない。

旧型モデル

そして、類似モデルとして、Universalも並べてある。

Vater Universal

樋口モデル、通称Pearl 111のカタログサイズは、いずれも
・口径 15.0mm
・長さ 410mm
なのだが、並べてみると、微妙に長さが異なることが分かる。

使い慣れているという意味では、自分の基準は
旧型のアメリカ製スペシャルヒッコリー(111SH)なのだが


計測してみると、口径がまさかの14.9mmくらい。
全長も、まさかの408mm
おいおいおい、マジかよ、と。全く気付かなかった。

一方で、後続モデルである、現行のアメリカ製スタンダードヒッコリー(STH-111)は
口径はしっかり15.0mmで、全長も410mmと、カタログ表記通り。
チップの形は、“卵型+樽型”というオリジナル形状で
新旧パッと見は同じだが、よく見ると微妙に違って、現行のほうが気持ちずんぐり。


重さについては、
 旧型アメリカ製 63&66g
 現行アメリカ製 56&56g
と、旧型がやはり重い。
この重さこそが樋口モデルという感じだが、もちろん個体差の可能性もある。

ショルダーのテーパーの仕方は同じ。
グリップエンドは、現行のほうが丸みを帯びている。


さて、現行の日本製は、ヒッコリー・オーク共に
口径15.0mmで、全長410mmと、カタログ値通り。
ただ、チップの形が完全に卵型”


あれ、樋口モデルは、伝統的に卵型+樽型なのに、どうしてこうなった?
ちなみに、旧日本製モデルは、しっかり従来通りの卵型+樽型だったことを確認。
モデルチェンジ時に、形状の引き継ぎはしっかりされたのだろうか。
あっ、現行カタログにも、Oval(卵型)と書いてるし...。

重さは、
 ヒッコリー 63&63g
 オーク   58&59g
まさかのオークよりも、ヒッコリーのほうが重い。
ちなみに、さすがに現行モデルは重さのマッチングの精度が高く
そこは企業努力や技術の進歩を感じている。


さて、本題はVaterのUniversalとの比較なのだが
上記のように、同じ樋口モデルとは言え、新旧各モデルの形状の違いが目立ち
どれが自分のスタンダードなのか、分からなくなってしまった(爆)。

まぁ現実的なことを考えて、現行のアメリカ製スタンダートヒッコリーを
基準にして、比べてみたい。


VaterのUniversalは、口径が0.595インチ (=15.1mm)であり
実際の計測でも15.1mmであり、樋口モデルよりも、0.1mmだけ太い。
その差は感じるときもあれば、感じない時もある。
全長のカタログ値は、16インチ (=406.4mm)のはずなのだが
実際測ってみると、なぜか409mmあり、410mmに近似している。

テーパーの形状はほぼ同じ。
チップの形状は、Universalも、卵型+樽型”なんだけど
少し形が違って、より樽型に近い。


重さは、
 Universal     51&53g
 現行アメリカ製  56&56g
と、振った印象通り、Universalのほうが、やや軽い。

ちなみにこの二つ、同じ工場で作ってるんですかと思うほど
木材の質が酷似しており、クリアラッカーの仕上げも全く同じに感じる。
まさかのVater社のOEM??(教えて中の人)


ひぐっつあんは、他にもVic FirthAHEADにもシグネチャーモデルがあり
ご本人は後年はAHEADばかり、使っていた記憶がある。
Pearl以外のスティックは、サイズが全然違ったり
ナイロンチップだったりで、手を出したことはない。

とまぁ、新旧モデル並べてみて、比較してみたら、色んな発見がありましたよ、と。
旧型モデルは、貴重な参考資料として、このまま使わずに保管していく所存。


先述の通り、Universalは十分に樋口モデルの代替になりそうな印象だった。
Universalは1ペアしか注文してないのに、1ダース届いたりしているので
今後も長く使っていこうと思います。