2022/10/29

ムーンジェル練習パッド

ジェル素材で有名なドラムパッドである
RTOM社の『ムーンジェル』

7インチの小型練習パッドが有名だが、もっと大きい
14インチ口径の『Workout Pad』という製品もあり
自分の最近のメインパッドである。

RTOM 『Moongel Workout Pad』

ムーンジェルは、ジェル素材故に
スティックのリバウンドが少ないことが特徴であり
これくらいリバウンドが少ない方が、実は
本物のドラムの打感に近いと思っている。

さて、このWorkout Pad、14インチという大きさからしても
実際のスネアドラムの打面の上に乗せて使うことを
前提にしているデザインだと思うが
それにしても、パッド単体では味気ない。


しかし、使い古しのヘッドの裏側から乗せてあげると



一気にドラム感が出てくる!
まさかのリムショットも可能に(笑)。

やる気もアップする、おすすめの豆知識。

2022/10/21

レッグレス・ハイハットスタンド

と言うことで、やりたくなったら即行動へ移す。
ハイハットスタンドの『DW-9500 D/XF』を改造。

まずは、上段パイプやロッドなどを取り外す。


ブラケット部位がイモネジで固定されているので、そのイモネジを外す。


もちろん、アメリカ製品なので、六角棒レンチは“インチ仕様”だ。
さらに蝶ネジなどを取り除いた後、ブラケット本体を外し、三脚を取り外す。
そして、またブラケットを元に戻す。


そして、レッグレスのハイハットスタンドの完成である。


ツーバスドラマーが、たまに使っているやつ。

ちなみに、この『DW-9500 D/XF』は、DWの最上級ラインのスタンドだが
脚部の折りたたみが、どうも収まりが悪く、ずっとモヤモヤしていた。
スイベル仕様で、向きも変えられるため、こういう畳み方ですよ、というものがなく
フットボード部分と干渉して、どう畳んでも脚の収まりが悪い。
そして中途半端な脚の出っ張りが、ケースに収納したときも邪魔になる。

TAMAなど日本のメーカーは、折りたたみ形状までよく考えてデザインされている。
DWさんは、もうちょっとその辺を工夫してもいいのでは、と思ってしまう。

という訳で、そのイライラする脚部が、きれいさっぱり無くなったので
見た目も心もスッキリである。

さて、レッグレスとなったハイハットスタンドだか
ペダル部のアルミボディベースがしっかりしているので
脚がなくても、意外とそんなに簡単には倒れない。
ちょっと意地悪に揺らしてみたが、びくともしない。

唯一の問題は、左足のゴーストモーションを加えると
スタンドが徐々に前に進んでしまう点。
でも、これもスタンドのスパイクを利用すれば、問題なくなりそう。

それでも、やはりスタンドが転倒するリスクは不可避なので
簡易的な支えを考案して、今後付けたいなと思っている。


最後に、外した三脚部の重さを測ってみると、 2.35kgであった。
ひとまず2.35kgの軽量化に成功。

2022/10/16

歌うハイハット

本日は雨が降り、スタジオ入りを断念。
代わりに、機材整備や、これまでやろうとしていた作業をするか、と。

そこで、引っ張り出したこのハイハットスタンド
『DW-9500 D/XF』


これ、スタジオにガンガン持ち込んで使いたいのだが、鬼のように重く
スタジオ持参を毎回躊躇してしまう、素晴らしいスタンドである。

元々、ハイハットは割とぎちっと締めてタイトに演奏するほうだったが
最近、ぐらぐら揺れるハイハットも表現の幅が広がり、いいなぁと。

歌うハイハットプレイを目指して(爆)、ハイハットを揺らす調整にチャレンジ。


ハイハットシンバルを揺らす方法はいくつかあるのだが
まず考えうるは、フェルトの交換か。
DW純正も、いま付けているPearlのクラッチも、付属のフェルトはかなり硬め。
まずは、それらを柔らかいものに変えるといいのではないかと。

柔らかいフェルトを求めて、自身のシンバル用フェルトのストックを見てみると
なぜ所有しているのか覚えていない、メーカー不明のゆるふわのフェルトを発見。
ひとまず、ちょうど手頃なものが手元にあり、ラッキー。

さっそく、Pearlのクラッチのフェルトを、ゆるふわに交換。
次に、ボトムベースのフェルトも交換。
ハイハットのボトム側を支える、口径の大きいフェルトである。

DW ハイハットボトム用フェルト

ボトムシンバルがぐらぐら揺れるように
トップ用と同じ、小口径のゆるふわフェルトに交換した。

そして、完成。


完成と言われても、これだけじゃよく分からんと思う。
ハイハットシンバルを付けたほうがイメージが沸くかな。


こんな感じで、ボトムシンバルが自由に揺れるようにしてある。
いくら揺れても、シンバルのカップが金属ワッシャーに接触しないことも確認。

上下のハイハットでこんな感じ。




なかなか良さげなゆらゆら具合。
本番(スタジオ)で試すのが楽しみである。

そして、スタジオに運ぶために、スタンドを再度ケースに収めて持ってみたら
やっぱり、死ぬほど重い。

重さの大半の原因は、このごつい三脚である。
落ち着いたら、カスタムすべし。

2022/10/08

ドラムシェルのトルク管理

ひょんなことから、ドラムのラグを留めるスクリューの
締め付けトルクの管理を始めた。


ラグスクリューの増し締め作業は、多くの人が
ドライバーで締め付けるという方法で行っていると思う。
私の場合は、ラチェット付きのヘックスソケットで締め付けて
なんとなくトルクを統一していた。

しかしながら、以前から、より正確なトルク管理ができればと思っており
そのために、プリセット型のトルクレンチの購入を検討していた。


だが、トルクレンチは大抵は3/8インチ以上の規格が多く
ドラムに使うには、トルクレンチ本体がでかすぎる。
1/4サイズのトルクレンチもあるが、それでもまだでかい。
しかも、どう考えても50~100Nmなんてトルクはドラムにはかけない。

探してみると、コンパクトサイズのデジタル式のトルクレンチというものもあったが
結構いいお値段がして、導入を躊躇していた。
さらに、アナログ式だがトルクドライバーというものもあった。
これなら極小トルクの設定もできて、ドラムに向いてそう。
細かくトルクを設定して、規定のトルクで締め付けることができる。
海外製だとドイツのWihaやWera、日本製だとSK11やトーニチの物が市販されていた。
さて、どうしたものか。

そんな中で、安価で1/4インチヘックス規格の超コンパクトな
トルク管理ツールがあることを知り、試してみた。
PROCHIの『スマルク スリーブ』シリーズ

PROCHI『スマルク スリーブ』

これは元々は精密機器のトルク管理するものであり、大きさが非常にコンパクト。
ヘックスソケット状で、ドライバーやラチェットなど様々なツールを連結できる。
規定トルクに達すると空転して、それ以上トルクがかからず
オーバートルクを防止できる、という機構が素晴らしい。

組み合わせる工具は、やりやすければ何でも良いのだが
ある程度力をかけるため、ドライバーだと、手首に負担がかかってしんどい。
よって、スピンナーハンドルか、Tハンドルがおすすめである。
私は色々試した結果、現在ではPBのTハンドルを使用している。



さて、それでは実際どれだけのトルクでスクリューを締めるべきか。
緩いのは言語道断であるが、逆に締め付けすぎも良くないと言われる。
理論的には、ギターのネックジョイントのボルトオンネックの締め付け具合と同じ話。
緩みにくく、かつシェルを締め付けすぎないトルク、という塩梅が重要である。


まず、適切なトルクとは、スクリューのサイズによって変わる。
ドラムのラグスクリューのネジ径は、ほとんどがM4である。
(たまにジャパニーズヴィンテージにはM5を使っているケースもある)

M4に適した締め付けトルクは、スクリュー自体の材質により変わるが
ほとんどの資料で1.0~2.0Nmの範囲で記載されている。

盲点なのは、どのドラムでも同じトルクが求められる、というものではなく
ドラムシェルの素材や構成により、最適なトルクは変わってくる点である。
例えば、金属胴は実は木胴よりも横からの圧力に弱いことが多く
過剰なトルクをかけてしまうと、シェルを変形させる恐れもあり危険である。


色んなトルクを試した結果、私が出した結論は
・硬いメイプルシェルの場合は、1.4Nm。
・薄い金属胴や柔らかい木材の場合は、1.0~1.2Nm。
・強固な厚いシェルの場合は、2.0Nmまで可。

もちろん、ラグのスクリューだけでなく
ストレイナーやバットの取り付けトルクもすべて同じく統一する。

実験としてメイプルシェルに3.0Nmまでかけたことがあるが
ここまで締め付けると、いくら叩いてもスクリューが緩まないものの
ラグがシェルへ結構な力で食い込むことになる。
物によっては、ラグがぶっ壊れるかも。



さて、演奏家として大事なことは、トルクを統一することより
その出音がどうかである。
適当に締め付けたものと、トルクを厳密に統一したものと
果たして差はあるのか?

実は、正直言うと、トルク管理により劇的に音が変わることは期待していなかったのだが
しかし実際にやってみると、心なしか雑味の無いスッキリした音になっている。
チューニングも普段よりも安定している気がした。
これはなかなかの収穫である。

増し締めする時に、ぼーっとしながら何も考えずに
順番にトルクアダプターで締め上げていくだけなので
全く神経を使わないので、精神的にとても楽。
それで、トルクが正確に揃ってしまうのだから、一石二鳥である。

PROCHI以外でも、『ANEX トルクアダプター』『TONE トルクグリップ』など
類似品はいくつかあり、いずれも安価で購入できる。


高価なものでもなく、トルク管理ができて幸せになれるアイテム。
トルクを統一することのデメリットは全く無いので
こんな良いもの使わない理由はない。

スネアだけでなく、ドラムセットにも有効と思われる。
ドラマー、ドラムビルダーの皆様にはぜひおすすめしたい。(案件ではありません)