2013/10/31

Ludwig Bow Tie lug

LudwigのBow Tieラグ。
Imperial Lugと双璧をなす、Ludwigの伝統的なラグである。
60年代のJazz Fesstivalから現行の木胴、各メタルスネアまで幅広く使われている。

ヴィンテージのBow Tieラグは現行のものよりややほっそりして見えるのだが
具体的にどう違うのか、以前から気になっていたので比較してみた。
おそらくこれを読んでいる9割以上の人には役に立たない内容www


左が現行ラグ、右が60年代のラグ。ぱっと見は同じで、横幅も特に差は感じない。
でも意外なところが異なっていた。


ラグの高さが結構違っていた。その差およそ3㎜。
ラグを正面から見るとよくわからなかったが、意外な差異である。


縦から見るとより分かりやすいかも。
これが現行ラグのほうがごつく見える原因だと思われる。
ナットの穴の大きさも結構違うことに気付く。
また土台部分のデザインもやや異なる。


取り付け穴の位置は全く同じ。
伝統があり、デザインを変えないブランドは
現行パーツと交換が利くという素晴らしい強みがある。

ちなみに現行のものとヴィンテージものを見分ける最も簡単は方法は...。
その内部構造である。


便宜上内部のナット等は除いてあるが、左の現行モデルには
テンションボルトナットを支えるスペーサーのエリアがある。
右側はヴィンテージであるが、何もなくてスッキリ。
その代わり、ナットはスプリングで支えておくのだ。
現行モデルではスプリングはノイズの元となるという理由で採用されず
ゴム板でナットを支える構造に変更されている。

それにしても愛すべきデザイン。


ちなみにBow Tieとは“蝶ネクタイ”のこと。
確かに横にしてみると蝶ネクタイっぽいかも。

2013/10/17

Jazz Festival Snare Drum Restoration was done!


先日入手したLudwig Jazz FestivalのスネアのRestorationが完了した。
よく考えてみると修復というか、改造?

オリジナルのままだと通常使用に色々と難があったので幅広く手を加えた。
パーツ類を洗浄、コーティングし、交換したパーツ類も多数。

製作されてちょうど50年経っているスネアなので
テンションボルト、ネジ類などはもはや使い物にならない。
いや、使えるのだが、劣化してるわ錆びてるわで機能的に不安定。
私はコレクト目的ではないため、実用性を考えて使いたくない。


スネア内部のラグスクリューもすべて現代のステンレス製に交換。
さらにオリジナルには含まれないスプリングワッシャーも挿入。
ストレイナーやバッドのネジ類も全てステンレス製に変更した。
オリジナルはマイナスネジなのだが、なめやすいのでプラスネジに変えた。
スクリューもネジもすべてインチ規格なので、巷で売っているISO規格は一切使用できない。
同サイズを揃えるのが少し苦労した。


フープはオリジナルのクロームオーバーブラスフープからニッケルブラスフープに交換。
Bow Tieラグ内のテンションボルトナットもすべて新品の代替品に交換。
意外とここを変えない人は多い。


当然のごとく、テンションボルトもすべて新品へ。
ワッシャーは少し厚めのオリジナル白ワッシャー。メタルワッシャーは付けない。

ヴィンテージドラムはテンションボルトさえオリジナルから交換すると
価値が下がるみたいだが、いやいや、50年前のテンションボルト
(しかももれなく錆び付き)を使い続けて何か良いことあるのだろうか。
純正でなくても新しいほうがよっぽど安心だと思う。
チューニングに影響する最も重要なパーツである故に余計に。

中古スネアのテンションボルトとその受け側のナットの双方を新品に交換すると、超絶気持ちいい。
チューニングを邪魔する要素が何もないのだ。チューニングがビシッと決まる。


バッジは本当はピッカピカにできるのだが
オールド楽器の雰囲気作りのためにあえてキレイにしなかった。


スナッピーはLudwig L1930に変更。
安心して使えるすばらしいスナッピーである。
実際このスネアにもベストマッチ。


今回悩んだのはヘッドの選択。
Coated AmbassadorからRenaissanceまでいろいろ付けてみたが
結局はBlack Beautyに張ってあったほぼ新品のLuwdig純正ヘッドを引っぺがしてこちらに移植した。
とても素敵な音になったと思う。


サウンドは、嫌な倍音がなくなり、とてもすっきりした。
いろいろと新品のパーツを導入して、やや現代のスネアっぽくはなったものの、趣のある音である。

このスネアは個人的に苦手な“8テンション”、“5インチ”スネアであるが
あえて深く付き合っていきたいと思う。

今年で50周年

1963年製、Ludwig Jazz Festivalスネアを手に入れた話の続き。


RingoがThe Beatlesの最後のメンバーとして加入し、デビューしたのが1962年後半期。
同年にファーストアルバムである「Please Please Me」をレコーディングしているが
そのときはまだPremierのセットを使用していた。

翌年の1963年、RingoはLondonのドラムショップであるDrum cityへ赴き
LudwigのBlack Oyster Pearlのセットをオーダーしている。
そして、記録によると納品されたのが1963年の5月。
Ringoが使用していたスネアも1963年製というのが通説である。

当時のLudwigの生産ラインとしては、DownbeatのセットにはJazz Festivalではなく
14×4 Downbeat スネアが付属してたので、Ringoのものはキットとスネアが一致していない。
よってRingoのドラムセットはバラバラで集められた個体たちであろうと言われている。

アメリカで作られ、その後イギリスへ輸出、ロンドンで販売されたことを考えると
1962年末~1963年の1~4月に生産されたものである可能性が高い。
なので、今回入手した1963年1月に生産されたこのスネアは
RingoがBeatlesで演奏していたJazz Festivalにかなりロットが近いと思われる。


ほんの数か月、もしくは数年の生産期間が異なるスネアが
そのスネア独自の特異的な音を出すのかというと...それは「ない」。
まぁ厳密に言えば同時期に仕入れた木材は繊維組織の質が近いので
かなり近い響きをすることは間違いない。
だが自分はそんな音の違いは聞き分けられないし、こだわるつもりはない。

1963年製にこだわらなくても、同じ60年代のJazz Festivalならまぁ似たり寄ったりのサウンドだろう。
ドラムなんざヘッドやフープのチョイスで大幅に異なるサウンドになるし
ましてやVintage drumなんて個体差が激しい。

なのでRingoと全く同じ音を出したいというつもりは毛頭ないのだが
Ringoが使用していたスネアと同時期の同じ仕様であるというだけでただ単純に嬉しい。

Vintageにあまり興味がない自分がここまでこだわりを持つのは、ひとえにBeatles愛である。
当時と同じ機材でThe Beatlesの曲をプレイすることは、この上ない喜び(=自己満足)である。

2013/10/11

新開発シェル

敬愛してやまないアメリカの養豚メーカー、Pork Pie Percussionから新しいシェルが発表された。



木製プライシェルの間に“ブラス”のプライを入れたのだ!
しかも木の素材は加工が難しいヒッコリーである。

自分も似たようなアイディアを持っていたけど、当然実現などできず。
こういった開発をどんどんすすめていってくれるメーカーを見ると嬉しくなってしまう。

YouTubeで音も聴けるが、とても素敵でした。

2013/10/10

Ludwig 60's Jazz Festival snare drum

私はVintage drumにはあまり興味がない。
良いものを求めるとどこまでも突き詰められるのでキリがないという点と
価格が沸騰し本来のモノの価値を大幅に超え
なんだか小金を持っている者のみに許された道楽と化しているというのが理由である。
手を出すとこわい世界だと思うので、あえて手を出さないでいた。

そんな私がなぜか手に入れた、60年代 Ludwig Jazz Festival 14×5 snare drum。
アメリカはMinesotaの片田舎から取り寄せた。


60年代のJazz Festivalは比較的巷に多く出回っているが、このスネアは少し特別。
マニアの方はぱっと見ただけで、ただの60年代ものではないことに気づくだろう。

まずはKeystone badgeはシリアルナンバーがついていない、プレシリアル。
これはLudwig社がシリアルナンバー制度を導入する前の1960~63年の
ほんのわずかな期間に生産されたことを意味する。

フープはChrome over brassと呼ばれる、クロームメッキされたBrass hoop。
ボトムフープのスネア開口部は出っ張っているタイプ。
これらは全て1960年代前期の生産である証である。
もちろん、ミュートは赤フェルトである。


そしてBaseball Bat Tone ControlとKeystone badgeとP-83ストレイナーが、ラグをはさんで3連続で続く。
これは1962年と1963年の2年間のみの仕様なのだ。
1962年以前だとミュートの種類が異なるし、1964年以降になるとパーツの配置が3連続ではなくなる。

それを証明するかのように、シェル内部には1963年製の赤色スタンプ。
シェル内に烙印された日付スタンプは1960~1963年までは赤色のインク、
それ以降のスタンプインクの色は黒と赤の混在と言われている。
日付スタンプは“後付け”もかなりあるらしいが、こちらは63年製に矛盾しない仕様である。

肝心の音はというと...よく乾いたドライで軽快なサウンド。
50年の経年変化を経たシェルを現代技術で再現するのは難しいことが納得。
Vintage drumが愛される理由だろう。

なんでそんなに1963年製にこだわるのか。
今年は2013年で、ちょうど「50周年記念」だからである。
何かが世に放たれ50周年なのだ。
その話はまた次回に。

2013/10/03

Ludwig Speed King ペダルの問題点


Ludwigの不朽の名作であるSpeed Kingペダル。
1930年代に初登場し、歴史の中で様々な著名ドラマーらに使用され
その完成度の高さから、いまなお世界中のドラマーを魅了し続けている。
そのため巷では“ペダルの王様”と言われている(らしい)。

その王様だが、ビーターを固定する部分が“蝶ネジ”であり
指で締めるためいまいちトルクが弱く、演奏中にビーターがすぽっと抜けてしまうことが唯一の弱点。

解決策として、ネット上に転がっている情報では
TAMAの角頭ボルト「MS612SH」に交換しようというものがある。


   

交換するとチューニングキーで回して固定できるため
より強くトルクをかけて締め上げることができ、また見た目もスッキリする。
ただ個人的にはこの方法は手放しでおすすめはできない。
自分自身も2年ほど角頭ボルトに交換して使用していたが、思わぬ有害事象を発見した。

角頭ボルトの先端の直角部分とビーターのシャフトが斜めに当たるため
チューニングキーを使ってハイトルクをかけていくと
角頭ボルトの先端が負けて徐々に潰れてきてしまうという問題が発覚。

潰れて変形してくると、取り外し時などにボルト穴のネジ回しに支障が出てくる。
ネジの回しがだんだん固くなってきて、不自然でおかしいなと思ったら
ネジの先端の変形していることが判明した。

そのままではペダル側のボルト穴までバカになってしまう危険性があり
速攻で純正の蝶ネジに戻した。

しかし今度はネジ山をクリーンアップし、グリスをしっかりつけて、回転をスムーズにした。
しっかりグリスアップすると、蝶ネジでもかなりハイトルクで締まる。
スタジオでかなり激しい使い方をしてみたが、ビータの固定は全く問題なく
なんだ、最初からオリジナルの蝶ネジで良かったのかと思わされた。

より確実な解決策としては、ビーターのシャフトのボルトが当たる部分に切り込みを入れることだろう。
もしくは各社で売っているビーターシャフトのストッパーでシャフトがはずれないように固定すること。


Speed Kingペダルはなかなかローテクなペダルだが

 ①折り畳みでき、持ち運びが容易
 ②独特のダイレクトドライブの形状から、踏み込みよりやや遅れて打面を叩く(タメができる)

ところが最大の魅力だと個人的に思っている。