2014/08/23

63年製 Jazz Festival その後

以前Restorationした1963年製、Ludwig Jazz Festival model。
フープをNickel Brass hoopから普通のSteel hoopに変更してある。



現在は上下ヘッドともにRemo Renaissanceを張っている。
Ludwig white coated mediumが一番合うんだが...何となく。
これはこれで乾いた良いサウンドが出せる。


Beatlesの曲の中で、個人的に「Help!」、「The Night Before」や
「Drive My Car」などで聴かれるスネアサウンドが好みである。
たぶんJazz Festivalで出せる最も良い音がそれらだと思うが
このスネアでも全く同じコロンコロンとしたRingoスネアの音が出せる。
さすがは同年代。

RingoはBeatles全般を通じて、ほぼひとつのスネアを使い通したが
曲によってスネアサウンドに結構違いがある。
当時はチューナーなんていなかっただろうし
Ringoがどんな考えを持ってチューニングしていたのか、気になるところ。

そもそもドラムをチューニングするという概念があったのかどうかすらあやしいが
本人の性格からして、ほとんどこだわりはなかったのではないかと予想される。

でも、どの音も曲にマッチしているので、時代が成せる技なんだなぁと思う。

2014/08/20

Ludwig Atlas Bass Drum Pedal


Ludwigの新しいペダル。
実際に踏んでみて、これはかなり良い出来だと感じた。

巷ではあんまり話題になっていないが...。

2014/08/17

DWの技術力


先日手持ちのDW Collector's Series スネアのヘッド交換を行った。
写真はスネア内部であり、メイプル10-ply + 6-ply reinforcementのシェル構成である。

そういえばreinforcementのつなぎ目の仕上げが気になり
よくよく観察して、驚愕した。まさかのフィンガージョイントである!

補強材をシェルの内側に隙間なくビシッとはめ込むのって実は相当難しいこと。
通常は垂直切断面や斜めの切断面で合わせるのが一般的で
ちょうど良い圧力で合わさるようにヤスリで調整をかけたりするが
フィンガージョイントにすると後から微調整が出来ず、ごまかしが効かなくなる。
コンマ何ミリの高度な採寸と加工が必要とされ、DWの技術力、おそるべしである。
ついでにフィンガージョイントにすることで
木端同士が圧力でずれることも防止しているのではないかと思う。
reinforcementの化粧板に贅沢にカーリーメイプルなんか使っちゃってるし!

またDWスネアのスネアベッドは、すごく浅くてほぼ削られていないのが特徴。
スネアベッドが設けられていないスネアってたまにあるよね。
無くてもなんとかなるもんですな(遠い目)。



もうひとつ、DWドラムの大きな特徴には、「True-Pitch Tuning Rods」と呼ばれる
目の細かいテンションボルトを採用している点が挙げられる。
これは一般的なドラムよりも細かいチューニングが可能であることは
よく知られているが、さらに別のアドバンテージがある。
目を細かくすることによってラグナットとの接地面積を増やし
ボルトをゆるみにくくするという利点があるのだ。
John Good COOが昔言ってた。

まぁ目が細かいおかげで、ボルトを外すのに他社のドラムよりも
チューニングキーをたくさん回さないといけないんですがね。

DWはアメリカンが作ったとは思えないほど、高品質。
アジア勢も負けてはいられないでしょう。

2014/08/10

オーバーホール完了

ついに完成。大体ピカピカになりました。
チューニングボルトは旧ワッシャーを全て取り払い、オリジナルワッシャーを装着。


今回はシェル内面まで全部磨いたので大変だったズラ(byコマさん)。
ちなみにオーバーホールする時は、私はラグスクリューなども
全て洗浄→コーティング→グリスアップして取り付けている。
とても手間がかかるが、全ては“機能保持”と“防錆”のため。


スナッピーはTAMAの「Starclassicスナッピー」。
20本のオーソドックスなタイプ。
これってまだ売ってるのかな?


打面側には先日引っ張り出したREMOの14milカスタムヘッドを張った。
このヘッドに一番合うスネアは間違いなくこいつだろうと。
このヘッドを張るに合わせて、ついでにオーバーホールも行ったという経緯。


私が個人的に好きなストレイナー、「MCS50A」。
ごつすぎるストレイナーなんだけど、機能性が高い。


自分の所有物と一目で分かるように、今回小細工をしておいた。
個性があってなかなか渋い。


金属類は全て洗浄してポリッシュ、コーティングしてとりあえず安心。
シェルの錆びが意外ときちんと落とせなかったので、次期メンテの時に再チャレンジ。

今後も末永く使っていきたい名器。

2014/08/06

メンテナンス


久々にこいつをメンテナンス。
「TAMA Bell Brass 14×6.5」。
上下ダイキャストフープに換装したBrad Wilk仕様。(またはLars Ulrich仕様ww)



キャストブロンズだけあって、シェルだけにして叩いてみると
“ゴーン”と鐘の音がする。

ツルピカにして参ります。

2014/08/02

Pearl FAT TONE Hoop



“内巻きフープ”と呼ばれる、内側に折り返しを付けたトリプルフランジフープが
近年ドラム各社より発売されている。

元々はSlingerland社が1950年代に開発した
Stick saver hoopというオリジナルデザインだが
一般的なフープとは異なるサウンドを発するということで再注目を浴び
近年各社よりリバイバルしているという状況である。

各社争うように内巻きフープを発表した中で
一人だけ風変わりな異端児が現れた。
それがPearlが発表した「FAT TONE Hoop」である。


ヘミング加工と呼ばれる板金を180度折り曲げる技術をドラムフープに応用して作られている。
1.6mm厚の薄いプレスフープの上端だけ折り曲げて溶接しており
同部位のみ3mmを越え、ダイキャストフープ並みの厚さがある。

上部1/4で剛性を保ちつつ、下部3/4の薄い部分で締め付けすぎないオープンさを保つ構造。
基本的には薄いフープの音なのだが、適度に倍音コントロールされている。

薄いフープは豊かな鳴りが魅力だが、反面音が散り音像がぼやける側面を持つ。
長所を残しつつ、適度に音を締めるというアイディアは素晴らしく
またその効果は実証され、現在では現行のPearlの多くのモデルに採用されている。

愛用のスネアに装着し2年ほど使用しているが、そのコンコンしたサウンドは絶品。
“ファットトーン”というのは決して言い過ぎではない。
スネア以外にドラムセットにも付けてみたくなる。

間違いなく、Pearlさんの最高傑作の中のひとつではないかと思う。
Patentがなければぜひ台湾メーカーさんたちにも量産してほしい逸品。