2021/12/18

臨界突破



TAMAのヴィンテージタイプのスタンドに
激重のベルブラススネアを乗せてみる。
なんという鬼畜(笑)。

このスネア、メンテしてだいぶ経つので、また少し錆びてきたかも。
久々にフルショットで叩きたい。

2021/12/16

代替スティック

昔からドラムスティックは、Pearlの『樋口宗孝モデル 111』を愛用している。


スティックの標準的な太さは14mm径だが
なぜか初心者の頃から、14mm径はしっくり来ず気持ち悪く感じ
逆に自分の手には、15mm径がマッチした。

樋口モデルは、太め、長めであり、振った感じも重く
他のスティックではなかなか感じることのできない、不思議なバランスがある。
大き目の樽型チップと、テーパー部分が太めで
重心が前方にあることが、どうも独特の感覚を生み出しているようだ。
スティックとしてはかなり癖が強いほうだが
その癖の魅力から、未だに逃れられない(笑)。

国産モデルのため、海外製スティックよりは少し安価であり
ショルダー部分が太い故に耐久性があることも、長く使い続けている理由だ。

同じ15mm径の似通ったスティックもいくつか試したことがあるが
村上ポンタモデル 106Hも、人気のStandard Hickory 197STHもしっくり来ず。
樋口モデルは、全くもって別格である。

樋口さんが逝去して以来、このモデルが廃番にならないかドギマギしていたが
現在も、スタンダードヒッコリー&オークとアメリカ産スペシャルヒッコリーの
3つのモデルの生産が続いており、本当に嬉しい限りである。
きっと、日本中に愛用者が多いのだろう。

最近のバージョン


しかし、このスティックに関して、悩みの種が。
日本の外に出ると、実はPearl製のスティックはまず手に入らないのだ。
Vic FirthやVaterなど、世界的な大手スティックメーカーのスティックは
もちろん入手できるのだが、日本のdomesticな製品は、さすがに流通していない。

海外にいると、日本では当たり前にできたことができなくなることが多いが
ドラム・ライフにもそれは影響しており、スティックについてもまたしかり。
従って、最近は、代替品となりうるものを探してみようかと考えている。

サイズからすると、ベースとなる規格は5Bと思われ、その選択肢は結構幅広い。
メーカーも品番も様々だが、いずれ廃番になりそうな
誰々のシグネチャーモデルとかではなく、長く販売されている
スタンダードなロングセラーの中から見つけるのがいいだろう。

スティックは元々はラッカーがべっとり塗ってあるものが好みなので
まずは『Regal Tip 5B』を試してみたいと思う。
さっそく、注文しますた。

どなたか、樋口モデルと使い心地がかなり似ているスティックを
もし知ってる方がいらしたら、ぜひ教えていただきたい。

2021/11/18

裏方ヘッド

ドラムは経験を積むほど、音作りの中でドラムヘッドの選択が
どれだけ重要なファクターを占めているのか、痛感するものである。
ドラムの構造は膜と筒から成り、音を出しているのは基本ヘッドなので
当然と言えば当然なのかも知れない。

所有するスネアドラムの中で、いくつかのスネアには
スネアサイドヘッドに、厚めのRemo『Emperor Snare Side』を張っている。


触っただけで、通常のスネアサイドよりも厚いことが分かる。
ちなみに厚めのスネアサイドヘッドと言っても
打面用のクリアDiplomatよりは薄い。
打面用のクリアDiplomatは7.5milだが
サイドヘッドのEmperorは5milである。

個人的に、スネアの音は裏ヘッドの音がしっかり鳴っている音
つまり、裏ヘッドが効いている音が好きなのだが
サイドヘッドが厚い方が、やはり裏ヘッドの存在感は一歩前に出てくる。

またスナッピーの音がキンキンせずまろやかになる。
総じて、スネアの音が太くなるので、打面のほうも
Emperorなど厚めのものだと、相性がいいような気がする。

これとは逆に、Diplomatの薄いスネアサイドヘッドは
柔らかい音を期待したが、サイドヘッドの音のパリパリ感が増し
いまいち理想とはかけ離れていた。
Ambassadorは、まぁ可もなく不可もなく標準的。

特記事項と言えば、Emperor snare sideは厚いために
通常のスネアサイドほどフィルムが伸びない。
フィルムが伸びないくせに、通常の打面ヘッドほど耐久性もない。
したがって、普通のAmbassadorスネアサイドのノリで
裏面のハイテンションをかけていくと、一気に割れることがある。
扱いには少し注意を要する。ミシミシ言ってきたら要注意(笑)。

このように利点、短点とあるのだが、音が気に入っているので使っている。
厚いという点が高じて、耐久性が高い(であろう)ことにも期待したい。

2021/11/10

マイ・ハイハットクラッチ

使える頻度はともかくとして、自分のドラム機材は一式持っていたい人なので
学生時代から、ハードウェア類を含めて、ドラムセットを一式所有していた。

ハイハットスタンドについては、TAMAのベルトドライブのHH905から始まり
軽量で持ち運びに楽ちんで、シンプルで使いやすい、TAMA HH15Rを長年愛用していた。

TAMAのクラシックハイハットスタンド『HH55F』が発売されてからは
その佇まいに惚れ込み、3年くらい前から愛用している。

TAMA『HH55F』

実際にライブでも使用したりしているが、スタンドのハイハットクラッチについては
Pearlの『HCL-205QR』に交換して使用している。


数年前より、REMOやTAMAなど、各社スピーディーに付け替えできるクラッチが
販売されているが、現時点ではこのPearlのものが最も秀逸であると思っている。

こいつの特徴は
・ボトムナットの外し方が超絶シンプルで分かりやすい
・ロッドにクラッチを面接触で強力に固定できる
の2点である。



また、トップナットは位置を決めたら、それ以上動かないように
イモネジで締めこんで固定することもできる。
セッティングのメモリー機能的な側面があり、おかげで毎回安心して使用できる。



しいて欠点を挙げるとすれば...
トップナットの回りが渋く、異様に固い。
それが、緩みにくさの元になっているという噂もあるが
自分の場合は、潤滑オイルを塗布してナットの回りをスムーズにしている。


スタジオ備え付けのハイハットスタンドは、クラッチがすぐに緩んだり
フェルトが潰れていたり、大抵コンディションが悪いことが多い。
なので、以前から自前のハイハットクラッチを持ち込み、交換して使うことが多かった。
そして、今ではハイハットスタンドごとスタジオに持ち込むようにしていて
慣れ親しんだハードウェアでプレイするようにしている。

以前、ライブで対バンのドラマーさんが本番直前でハイハットクラッチが故障し
このクラッチをお貸しして、本番を演っていただいたこともあった。
ちゃんとした(?)ハイハットクラッチを持っていて良かったと思う瞬間である。

マイ・ハイハットクラッチを持っていると、確実に幸せになれる。
スタジオ入りの時は、ぜひポケットに忍ばせておくことをお勧めします。

2021/10/18

スタジオでのモニター環境

ドラムの演奏の楽しさって何だろう。

根っからのドラマーなら、基礎練習で練習台タカタカ叩いてても楽しいだろうけど
バンドの中で合奏することが、やはり最も楽しい瞬間ではないだろうか。
バンドに所属し、常に他パートと一緒に演奏できることが一番であるが
いつもバンドに所属しているとも限らず、その場合は
個人でスタジオ入りして、音源を聞きながらそれに合わせて叩くこともまた楽しい。

スタジオで音源を聞く方法であるが、ドラマーあるあるだけど
音楽プレーヤーを聞きながら叩こうと、再生してドラムプレイの中に混じると
ドラムの音がデカすぎて、全然音源が聞こえない。
プレーヤーの音量を最大にしたところで
やっぱりちゃんと聞こえなかったり、部分的にしか聞こえなかったり。

従って、音源を聞きながらドラムを叩くには
単純に、音源の音量を増幅する必要がある。

大音量で音源を鳴らすことを目的としたときに、最もシンプルな方法は
スタジオ内のPAシステムで、音源を流すことであろう。
しかし、ドラムを叩いている中でも十分に聞こえる音量というのは
相当の爆音であり、壁の薄いスタジオなんかでは、他の部屋に音漏れしてしまい
受付カウンターをはじめ、周りに迷惑がかかるレベル。
かける曲によっては、周りがかっこいいロックを演奏しているところで
加山雄三の『君といつまでも』を爆音で鳴らすことになり
その場合、なかなかの気まずさなのである。(実話)

となると、解決策は耳元で聞くこと、つまりイヤモニというか
ヘッドホンモニターシステムであろう。
スタジオのPAシステムに音源を接続して、PAシステムからの出力で
自分のヘッドホンに返す方法が理想的であるが
まぁ大抵のスタジオはPAシステムからドラマーまで距離が遠く、配線が届かない。
それをつなぐために、5メートルの延長ケーブルなんか毎度毎度持参してられない。
そもそも、スマホにしろMP3プレーヤーにしろ、手元で音源の操作ができないので
曲のたびにPAシステムまで移動しなければならず、いちいちそんなこともしてられない。

ということで、やっぱりドラマー個人の手元に音源を置いてモニターするしかないと。

ご存じのように、音量を増幅するためには、アンプが必要であり
手元に置くという意味では、ポータブルなヘッドフォンアンプが最も理想的である。
昔の話になるが、某楽器店の推奨する某コンパクトヘッドフォンアンプというものがあり
嬉々として購入して、MP3プレーヤーと接続して使ってみた。
しかし、まぁ音量の増幅の小さいこと。
音量マックスで増幅しても、ドラム叩いていたら、全然聞こえない。
ついでに申し上げると、手のひらサイズのコンパクトなアンプなんだけど
ACアダプター駆動なので、アダプターまで持ち歩くので荷物が全然コンパクトではない。
ということで、全く実用性がなく、お蔵入りした末にハードオフに売りさばかれた。

もっと出力が大きく、なおかつアダプター不要である電池か充電式の
ポータブルアンプが理想的と思われ、そういったタイプを探してみた。
実際、いくつか該当するポータブルアンプが売られていたが
ポータブルアンプというのは、元々音楽鑑賞用の機器であるため
爆音レベルにすることを目的にしていないので
どうしても、ドラム目的だといずれも出力が弱いのである。

そんな中で、ギターアンプで音を出してみたり、試行錯誤を重ねた末に
とある完璧な機器に出会い、最終的には、自分の理想のモニターシステムを構築できた。
と言っても新しい商品を購入したのではなく、自分が元々持っているもので解決したのである。

それは全く使用目的の異なる、『GRECO HPA-1』、通称Studio Gangである。



これは元々はギターの個人練習用のヘッドフォンアンプ。
自分のギター用に購入したものだったが、曲を聴きながらプレイするための
外部入力ジャックがあり、音源も同時出力できる。
そして、なぜかこれの音量増幅能力が半端ない(笑)。

最近は鼓膜と聴力保護の目的でドラム用耳栓をしているが
耳栓の上からヘッドフォンをかぶり、このアンプで音源を流すと
ドラムを叩いている音量下でも、たった中程度の増幅で
音源が爆音レベルに大きくなり、勘弁してくださいってくらいよく聞こえる。
耳栓をしているので、耳への負担も少なく、爆音ゆえに骨伝導まで伝わるため(笑)
どこまでも音量を上げる必要もない。
楽曲の種類、またドラムの音量に合わせて、適宜出力を調整でき
曲の中に自分のドラムをちょうどよいバランスで溶け込ませることができ、違和感がない。


音楽鑑賞用のヘッドホンアンプではないため、音質は良い訳ではないが
ドラム叩きながら聞くものなので、音質は一向に気にならない。

そして何より、単三電池2本の電池駆動であることがうれしい。
電池の減りも少なく、これならわざわざACアダプターを同伴する必要もない。
やばいくらいに条件が完璧だった。

好みもあると思うが、ドラマー諸兄にモニター用アンプとして
自信を持っておすすめできます。
が、悲しいことに、このHPA-1は現在廃盤という...。
昔は楽器店で投げ売りされていたのになぁ。
中古品なら結構出回っているので、興味のある方はぜひお試しを。

2021/08/01

History of development ④

最後に『ドブリー・クアトロ』Tハンドルについて、ご説明します。


これまでのチューニングキーの不満点は、やはり小さいが故の
チューニングするときの指への負荷、ではないでしょうか。
特にヘッドにかかるテンションが強くなるほど、キーを回す指への負担は確実に増えます。
痛みとまではいかないけれど...あの独特の不快感。

ドラマーのみならず、どんな楽器奏者も、指先の微妙なコントロールを必要とします。
指の感覚やコントロールは、奏者にとって、本来守られるべき大切なものであるはず。
演奏前の指への負担は、極力減らすに越したことはありません。

もう少し楽にテンションボルトを回せないか、という思いで
私の場合、これまでもバーの長いハイテンションドラムキーを使ってきました。
今回の『ドブリー・クアトロ』シリーズの開発にあたっても
チューニングキーのハンドルは、ある程度長いものにしたいと考えておりました。

3/8インチドライブのT型スライドハンドルは、世にたくさん出ておりますが
ハンドル長が大体どれも20㎝以上あるので
ドラムチューニングに使うには、長すぎます。
またスライドできたとしても、センターノッチが無く
ドライブがフリー状態で固定されないものも多いです。


調べたところ、国内メーカーさんで、結構なショートサイズの3/8インチTハンドルも
市販されておりましたが、どうもソケットとのクリアランスの相性の懸念や
バーが痛みを発生させる形状をしていたので、やはり自分で作るしかない、と。

従って、オリジナルのTハンドル製作にあたっては

 ・ハンドルバーが適度な長さ(長すぎず、短すぎず)
 ・スライド型で、T字でもL字でも使えること
 ・センターノッチがあり、中央でしっかり固定できること

この3点を、絶対条件としました。


チューニングキーは指先だけで回す人、手掌全体で回す人さまざまですが
どちらのパターンでも、使用できることを目指しました。
日本人の成人の手幅と、母指球を含めた第1指の長さの平均データをベースにして
アジア人よりももう少し手の大きい、外国人にも使いやすいようなサイズ設定で
ハンドルの長さを算出しました。

製作依頼先の工具メーカー様が、スライドTハンドルに関して
元々すばらしい商品を作っておりましたので
それをそのままドラムチューニング用に転用できればと思い
寸法のみ調整して、製作していただきました。


完成品を見てみると、さすがは世界的工具メーカーで
精度が非常に高く、ソケットとTハンドルのクリアランスがかなり小さため
かっちりフィットし、ガタがゼロであることに驚きました。(これは実はすごいこと)


楕円形ハンドルのアイディアと、滑らかなメッキ仕上げは、本当に素晴らしい。
ハンドルバーのスライドもスムーズで、また、ちゃんとセンターノッチがあり
中央できちっと固定されます。
ヘッドドライブは、クロームメッキではなくリューブライト処理になっているので
メッキ剥がれで指を怪我する恐れもありません。

ソケットとTハンドルの重みも相まって、回転力が増強され
また、通常のチューニングキーよりも、バーの長さも確保されているので
テコの原理で回す力も少なくて済みます。これは楽です。

マーチングドラムなどの、かなりのハイテンションをかける
打楽器への使用に対しても、お勧めできます。



以上、長々と綴って参りましたが
これまでの構想を具現化し、思い切って生産に踏み切った次第です。
完成品が上がってきたときは、当然ながら心躍りました。

一般販売も開始しましたが、製品を売りたいということより
こんな便利なものを、まずは自分が欲しかったという。

テンションボルトを回す道具なんてものは、元々世の中に他にたくさんある中で
私はチューニングキーを売っているのではなく、ボルトを回す際の
利便性や拡張性、つまり、“体験”を売っていると思っています。

そして、この素晴らしい体験を、世の多くのドラマーの方々に
味わっていただければ、私にとって至上の喜びです。

2021/07/18

History of development ③

前回ソケット形状について書きましたが
国内の工具メーカーだと、2社が二重四角のソケットを販売しています。
これらの既製品を元に、ドラム用として使うための改良及び設計を考えましたが
あらゆる使用パターンに対応しうる設計が、一筋縄では決まらず、困難を極めました。

言われる前に言っておきますが、これらの既製品のソケットでも
ドラムチューニングに、“一応”使用できます。
しかし、いろいろと難がありますので、実際の使用は厳しいと言えます。

どのように難があるかと申しますと、下に実際の既製品の写真をお示ししますが
まず、元々は低角頭のボルトに使うものなので、ソケットの深さ自体が浅く
6~10mmはあるドラムのテンションボルト角頭に用いると
角頭に対してソケットが浮いた状態になり、角頭全体をしっかり噛むことができません。
あとは、3/8インチソケットだと、ソケット径が太いためフープに干渉してしまいます。

浮いてる上に、思いっきりフープに当たっています

1/4インチサイズのソケットもあるので、その場合は
口径的にフープへの干渉問題は避けられるものの
ソケットの深さが足りないことと、3/8インチ工具がアダプターを介さないと使えません。
また1/4インチサイズだと、3/8インチソケットほどの強度は出せなくなります。

これらの問題をクリアし、ドラムチューニング用に使えるようにすべく
理想的な設計を考えていきました。

最も苦労したのが、ソケットの全長の設定。
ドラムメーカー10社以上のテンションボルトと、様々なチューニングキーを研究して
ソケットの深さは決定したものの、ソケット部位の長さを
どこまで確保しなくてはならないか、非常に悩みました。

ひとまず考慮しなくてはならないのは、ウッドフープに使用するケース。
ウッドフープは、穴にチューニングキーを差し込まなくてはならない仕様ですので
ある程度ソケットの長さを担保しないと、フープにソケットが干渉して入りません。

次に、金属フープへの干渉です。
金属フープは大きく分けて、プレスフープとダイキャストフープに二分されますが
フープ自体の高さと、プレスのフランジ部分の形状がメーカーによってバラバラです。
3/8インチだと、ドライブ部が太いため、フープに干渉してしまうことは先述の通りですが
フープの高さが高いほど確実に干渉し、またフランジ部位にももれなく干渉します。

特に最近はGretschの302フープやPearlのファットトーンフープに代表されるような
フープ高の高いタイプが多く出回っており
またSlingerlandやLeedyなどの一部ヴィンテージドラムのフープも
現代品に比べると、かなりフープ高が高いです。
これらのフープを含めて、あらゆるタイプのフープ高に、いかに対応できるようにするか
非常に頭を悩ませました。

さらに、問題をややこしくしたのが、フープ高に連動した
テンションボルトのワッシャーの使用状況です。
ワッシャーには薄いタイプ、厚いタイプがあり
さらに2枚重ねなど、使用状況はドラマーによって様々。
同じフープを使っていたとしても、使用するワッシャーの厚さや枚数により
人によって、テンションボルトの角頭とフープとの相対的な高低差が変わってきます。

全く同じフープ、同じテンションボルトでも、ワッシャーの使用状況によって

フープとの高低差が、ここまで違います
 
もし薄いワッシャーを装着していて、さらに不運にもフープ高が高い場合
ソケット長が不十分だと、フープに干渉するリスクが高まります。
つまりは、メーカーとして『このフープなら適合します』ということが
一概に言えなくなってしまいます。

単純に、ソケット部の長さを十分に長くすればいい問題ではありますが
不必要にソケット全長を長くすることは、操作性が悪くなるため
可能な限り、ソケット長は短くしたい。

最終的に、様々なメーカーのフープ高やワッシャーの厚さの使用状況を想定して
“ほとんどのケースをカバーすると思われる、必要最低限の長さ”
というものを割り出しました。

最後に、ソケット幅(内径)も、0.1ミリの違いをどうするか、悩みました。
ドラムのテンションボルトの角頭のボルト幅は、メーカーによってばらつきが大きいです。
テンションボルトの角頭に対して、ソケットのがたつきを抑え
吸いつくようなフィット感を出したい反面で
このメーカーの角頭にはまらない、もしくはきつい、という状況は極力作りたくない。

折角のオリジナル製品、ソケット幅をギリギリまで小さく攻めることも考えましたが
結局は、なるべく世の中の多くのドラムに使用できる方を選択しました。

これらの熟考の結果、最終的に決まった設計がこれです。


ご覧のように、フープへの干渉も見事にクリアしています。
もっと背の高いダイキャストフープや、ウッドフープにも対応します。

頭角全体を十分に噛んでいる上に、3/8インチ径でもフープと干渉しません

実に色んなことを考えながら作っている、ということを伝えたい。
こんな開発秘話は長々とオフィシャルサイトでは語れないので
ブログという手段があって、改めて良かったな、と(笑)。

(続く)

2021/07/15

History of development ②

さて、『ドブリー・クアトロ』ソケットがただの四角ソケットだったら
特に目新しさは無かった訳ですが、本品は特殊8角形という形状で作成しております。

これは二重四角と呼ばれる、工具の世界では既存の形状(技術)であり
6角ボルトに対して、12角ソケットがあるように
四角ボルトに対して、倍の8角のソケットになっています。
しかし、特殊8角形と称している通り、通常の8角形ではなく、下記の図のように
四角が二つ交差している形状です。これにより、どんな角度からでも
四角角頭がフィットしやすくなっているわけです。



世の中のボルトは6角ボルトが主流ではありますが
自動車製造の一部では、四角ボルトというものが用いられています。


かなりの少数派に含まれるマニアックなボルトですが
こういうニッチなネジに対応するために、自動車整備用工具の業界では
4角や8角ソケットが市販されております。
“あれ?同じ四角だから、ドラムのテンションボルトにも使えるんじゃね?”
と気づいたのが、開発の発端でした。

まぁ、オタクですので、当ソケットと似たコンセプトとして
某楽器店で、台湾製12角の1/4インチソケットをドラムチューニング用として
販売していることも知っております。
実物を見たことはないですが、写真で見るからにこれはスプラインソケットで
3重四角ではなく、2重六角の12角がメインの
六角用ソケットではないか、と思っています。

8角以上にフィットしやすいかも知れないですが、多角ゆえに角頭との接地面が
極端に少なくなることに加えて、ドラムメーカーによって
テンションボルトの角頭サイズが割とばらつきが大きいため
はまらない、もしくは接地面が少なくブカブカで回せないであろうと思います。

つまりは、ドラムのテンションボルトサイズの四角角頭に対しては
接地面積の確保、将来的ななめにくさより、8角が限界であると考えます。



ちなみに、『ドブリー・クアトロ』シリーズは、私が全信頼を置いている
日本の世界的工具メーカー様に依頼し(説得し)
幾度もの協議を重ねた末に、生産をしていただけることになりました。

自動車整備や工業目的のプロの工具メーカーの設計、生産ラインで作るものですので
楽器メーカーの作るドラムチューニングキーとは、根本的な作りからして異なり
精度、品質や耐久性に関しては、群を抜いております。
これまでのドラムチューニングキーとは、いわゆるレベチであり
それが故に、プロの方々にも自信を持ってお勧めできるのです。

(続く)

2021/07/08

History of development ①

2021年も後半戦となり、世はUEFA EURO 2020トーナメント真っ只中。
ヨーロッパサッカーのレベルの高さに興奮しつつ
Wembley stadiumにそんだけ人入れるんだったら
また近々、大型ロックコンサートを再開して欲しいなと願う、今日この頃。

Doble Cuatro<ドブリー・クアトロ>ドラムチューニングキーの発表から
しばらく経ちましたが、多くの方々から反響の声をいただき、感謝を申し上げます。


なかなかトリッキーな製品ではありますが
このソケットの魅力をお伝えするべく、当ブログにて
開発の経緯を、少しずつお話できればと思います。

元々、ドラムチューニングソケットと3/8インチ工具との組み合わせは
個人的に10年ほど前よりやっておりました。
某竹トンボチューニングキーの、1/4インチソケットが既製品として存在しており
それを3/8インチ工具と合わせて、それはそれは愛用していたのです。

演奏もさることながら、ドラム作りをしていると
とにかく頻繁に、ヘッドの付け外しやチューニングを行うことが多く
スピーディーなテンションボルトの付け外しを要します。
電動ドリルは便利ですが、ドラムのボルトを締めるには向きません。
結局、いろんな工具と組み合わせて、用手で行うのが最も効率的。

工具とドラムキーとの組み合わせは、様々な場面で役立っておりましたが
そんな中で、いつか直接つなげる3/8インチサイズのドラムキーを作りたい、という思いと
『ナゲット』と名付けた基礎チューニングキーを製品化したいと、考えておりました。



3/8インチ規格にこだわる理由は、主に3つあります。

一つ目は、単純に世の中の工具は、圧倒的に3/8インチドライブのものが多いこと
既存の工具と組み合わせることにより、様々な使い方ができますが
1/4インチよりも3/8インチのほうが、その選択肢がはるかに広がります。

二つ目は、3/8インチにすることにより、ソケット径が太くなり
強度が増し、長く、安心して使うことが可能になる点
チューニングキーをハードに使ったことのある人は
四角穴がどんどん広がって回せなくなったり
割れたりした経験をお持ちの方も、多いと思います。
ある日チューニングをしていると、突然ガクッとソケット部がバカになったりする。
それがライブ本番前とかだと、非常につらい。
そういった問題を解決するために、強度は重要です。

三つ目は、ツールとしての使いやすさ
ドラムのテンションボルトくらいの径のネジに対しては
サイズ的にもトルク的にも、本当は1/4インチサイズの工具が適しています。
しかし、1/4インチのツールは、小さく、軽すぎる。
3/8インチ規格にすることで、ツールに“重み”“握りやすさ”が生まれ
取り回しが楽になり、またツールとしての重厚感や存在感も増します。

昨今のドラムチューニングキーも、以前より
大きく、重いもの、が主流になってきている点からもわかるように
ある程度の重量があったほうが、回しやすく使いやすい傾向があります。

ドブリー・クアトロは、よく重いと言われますが、ほんとに重いです(笑)。
これが1/4インチ規格であれば、もっと軽くできたことは間違いないでしょう。

実は、設計の段階で、Tハンドルの1/4インチサイズも全て試しています。
しかしながら、ハンドルが細いため、やはり指が痛くなり、また重さも無いので
遠心力も生かせないことを、改めて認識しました。

従って、3/8インチの、この重さ・大きさだからこそ、握りやすい、
取り回しやすい、ということを強調したいです。
なおかつ、重くて大きいから、紛失しにくいです。

私はドラムチューニングキーも、立派な工具だと思っています。
なので、キーホルダーをつけてぶら下げたり、しょっちゅう無くしたり
アクセサリーのような立場で扱わずに
きちんと工具として、使ってほしいと思っています。

(続く)

2021/06/20

Completely New Experience

さて、いよいよ状況が整ったので、正式にアナウンスさせていただきます。

Tomi Drums創設10周年記念事業といたしまして
オリジナルのチューニングキーを開発しましたので、ここに発表します。

スペシャルサイトを用意しましたので、ぜひご覧ください。


『ドブリー・クアトロ (Doble Cuatro) 
ソケット&Tハンドル



これまでの既存のチューニングキーとは、全く異なるコンセプトです。
チューニングをもっと楽に、もっと楽しく、より身近に。

ドラムチューニングの“新しい体験”を、提供いたします。